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268件のレスが見つかりました
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投稿者 親記事
[記事No.326462]短編小説

まなか
ID:[shiroikotori]
PC
投稿日時:04/03 19:27

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 ま、間違って短編小説スレッドを削除してしまいました……!!
 本当に本当に申し訳ない。消してしまった作品の作者様にお詫び申し上げます。

 また作りますので、また投稿していただけると嬉しいです。すみませんでした。

 一つのレスに収まる長さの短編小説を書きましょう。
 投稿は何度でも大歓迎です。連続投稿も可能。気が向いた時に参加してください。
 スレ主も頻繁に出現します。

投稿者 スレッド
[記事No.657040]Re:短編小説

桔梗
ID:[bokema_1228]
PC
投稿日時:05/19 08:30

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記事No.326462への返信

「………はぁ」
暗い部屋で少女がぽつりと呟いた。今はもう独り、隣にあの子はいない。そう思うと悲しくて。

昔は楽しかった、何でもないような話しで笑えて一緒にご飯を食べれた事が。

でも歳をとると同時にあなたは変わっていった。長髪だった髪の毛をばっさり切ってストレートだったのをくるくるにした。携帯だってスマホっていうのに変えた。パソコンなんて今まで持ってなかったのに急に持つようになった。それからだ、ネットで知り合った人と親しく接するようになった。私は仲間外れ、いつもみたいに遊ぼうとも言ってくれなくなった。

当たり前の事だ、私はスマホもパソコンも持っていない、時代の流れについていけなかった私が悪い。
でも自分が悪いっていうのを認めたくなくて…あなたは悪くないのに何度も強く当たって傷付けてしまった。

『お前はいらない、あの子を傷付けるお前なんて』

どこからかそう聞こえた。きっと私の中の俺が怒っているんだろう。

「…どこで間違えちゃったんだろうね」

姉の寝息が聞こえる中、ぽつりと呟いた。
[記事No.656276]Re:Re:Re:短編小説

百合鮪
 nWQYHvl.
ID:[mayohaku]
TS3P
投稿日時:07/04 03:34

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記事No.655940への返信
 


少年は想った。

「彼女を殺したい」と。

目の前で無邪気に微笑む彼女は少年のそんな想いに気付く様子もなく、「今日は暑いね」と弾んだ声で言った。

「ああ、暑いね」
「ね。アイスが美味しい季節だね」

ついさっきコンビニで買ったアイスを食べながら笑う彼女に愛しさと同時に'あの想い'も込み上げる。

きっと、君はいつか死んでしまうのだろう。
病気か、事故か、はたまた誰かに殺されるか。
何にせよ、人間なのだからいつかは死ぬのだろう。

それなら
それならいっそ、

病気だとか事故だとか通り魔だとか、君をそんな奴らに殺されるくらいなら、
僕が、いっその事。

君の全てが欲しいんだ。
その笑顔も綺麗な指も黒い絹糸のような髪の毛も、


君の人生も。


僕に、君の人生を奪わせてくれ。


「蝉がうるさいね」
「そう?私は夏って感じで好きだよ」


ああ、君が本当に愛しいよ。


□□□□□


なんだか分かりにくいと思いますが私がヤンデレ好きだという事は伝わったんじゃないでしょうか!



 
[記事No.655940]Re:Re:短編小説

しの
 TLt7CUhg
ID:[mikiyuu08]
PC
投稿日時:02/07 21:23

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記事No.655714への返信

 ほかほかと湯気をたててそこに置かれた、ふわふわのオムライス。それは少年にとって、些細な幸せだった。最近うまく使えるようになったスプーンを握り、一口大の大きさに分ける。とろり、半熟の黄色い卵が赤いケチャップライスにかかるのを見つめる。匂いにつられて自然と頬が緩んでしまうのも、仕方のないことだ。
「いただきます」
 言い忘れていた感謝の言葉を慌てて同居人に告げ、少年はスプーンを口へと運ぶ。口の中に広がる、ケチャップとふわふわの卵。小さな手は、思わず頬を抑えている。あまりにおいしいものを食べた時、ほっぺが落ちてしまうのだと時折この家に来る真っ白な男が言っていたことを思い出したのだ。
「おいしい?」
「ん」
 同居人の問いかけに力強くうなずくと、エプロンを外した彼はへにゃりと笑って、「よかった」と呟いた。自分用の皿を子どもの向かい側に置き、座る。白い男が買ってきた椅子は、どちらの足もまだつかないくらいに背の高いものだった。ぶらぶらと少年の足が揺れる。
「こら、お行儀が悪いよ」
 笑顔が少し困り顔になって、少年を窘める。そんな些細なやりとりでさえ、2人は幸せだった。
「    」
 上機嫌で同居人の名前を呼んだ。普段の大人っぽさはどこへ行ったのか、年相応の表情でオムライスを頬張っている同居人、その青年は、スプーンを口に咥えたまま首を傾げた。
「きょうも、おいしい。おいしいごはんを、ありがとう」
 まっすぐ、目を見て感謝の気持ちを精一杯の言葉にのせて伝えてくれる自分の弟のような同居人に、青年は愛おしさを感じていた。自分が守ってやらなくてはと、決心した。



青年は12歳、少年はまだ5歳だ。白い男が帰ってこない今、社会から見ればどちらも保護されるべき子どもたちは、とあるアパートの一角で、ひっそりと2人ぼっちで暮らしている。
[記事No.655714]Re:短編小説


ID:[ayu1126]
PC
投稿日時:12/03 09:01

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記事No.326462への返信

顔も知らない人を好きになれるのか
名前もしらない人を愛せるのか

答えはYESだ


恋だとかそんな甘酸っぱい感情じゃなくて、ファンだとか憧れとかじゃ足りなくて、でも、私よりその人に会っているファンに嫉妬する
恋じゃないなら、この感情は何なのか
憧れじゃ足りないなら、どんな言葉なら表せるのか
この気持ちの正体がわからない

顔も名前も、何人いるのかもわからなくて
たった三回しか会えてなくて
好きだってちゃんと伝えられていなくて
あの人からもらったのは、握り返されない握手と、右肩をぽんとたたかれた感触だけ

それでも好き
一年間、会おうとして、会えなくて
夜行バスに間に合わなかった夜、人身事故で止まってしまった電車の中で、みっともなく泣き崩れたあの日
こんなに苦しいなら好きにならなきゃよかった
私が好きにならなくても、あの人のことを好きな人はたくさんいる
ほんとうにそう思った
そう思っていた

それでも、好きだって気持ちは抑えきれなくて

あと二ヵ月、きっとあの人に会える最後のチャンス
今度こそ伝えたい、手紙じゃなくて直接
この口で、好きって言いたい



あと、欲を言うなら、握手がしたい




−−−−−−−−
実話を基にしたノンフィクション
[記事No.655670]Re:短編小説

ジャージ剣士
 kU4UK.t.
ID:[rnyh0180]
KC4D
投稿日時:11/26 23:38

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記事No.326462への返信

恋はチョコレートの味がすると言ったのは、友達だったか、それとも貴方だったか。


彼が最後にくれた宝物を口に含み、ガリッと奥歯で噛み砕く。


苦くて、甘い。


それはファーストキスの味によく似ていた。


ガリッ、ガリッ


開いた唇の隙間から入り込んだ涙が、それに混ざり込んだ感覚。


甘い、苦い。


辛い、痛い。


絡まった感情は全てとろりとした甘味に溶かし、喉に流し込む。


口に残ったのはしょっぱさ、少しの甘味と苦味。


心に残ったのは涙の温かさだけ。





ぐたぐたですみませんm(_ _)m
似たような文章が私のサイトにあるかもしれません

サイトは二次創作へ繋がります。
[記事No.650874]今生を猫として

みなみ
ID:[megalomania0]
PC
投稿日時:10/14 01:08

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記事No.326462への返信
生きるのはなんともつらすぎる、だから私は人生に飽きた。それはもう、嫌気がさすほどに。

彼女のそんな言葉にぎょっとした俺は、まさかまた死ぬとでも、大量の睡眠薬をビールで流し込もうとでもしてるのか、ティシューを口に詰め込み始めたのかと目を見開いて振り返った。
だがそれは杞憂で、彼女は両手の指を揃えてぴんと立て、耳の上あたりにくっつけると、にゃあとひとこえ鳴いた。
猫耳を模して、猫のまねだ。

だから私は猫になる。おまえの膝の上で、おまえの手に撫でられ、おまえの笑顔を見上げて生きるのだ。

おおばかもの。おまえのその手の冗談は笑えない。その程度のことは猫でなくとも、おまえなら大歓迎だ。いつだって膝を貸すし、頭も腹も乳房も尻も撫でてやろう。下心が入るのは許せ。そしておまえが笑うなら俺も笑うから。

しばらく黙ったかと思えば、ひとこと。

おまえはすけべだ。

猫でなくともよく鳴くくせに。

揶揄を返してやれば、彼女はぴんと立てた指の耳をくたりとまげ、にゃあ、と鳴いた。
[記事No.646882]Re:短編小説

癒里
ID:[notlook4279]
SH3F
投稿日時:03/07 14:02

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記事No.326462への返信








毎日毎日、そんな仏頂面で過ごして人生楽しいか?

ああ、楽しくないから仏頂面してんのか。

そう言って笑うその人は。
いつもいつも笑っているその人は、口を一文字に引き結ぶ私の頭をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。

「騙されたと思って、ちょっとの間だけでも良いから微笑んで生きてみろ」
「……なんで」
「そうすりゃな、世界もお前に微笑むぞ」

人生、楽しいぞー。

そう言って笑ったその人の笑顔。
それは『騙されても良いかな』と思えるくらいにキラキラしていて。

私は小さく、笑ってしまった。















『The world laughs with you』
[記事No.645562]Re:短編小説


ID:[ayu1126]
PC
投稿日時:02/04 06:04

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記事No.326462への返信

たとえば僕が全知全能の力を持っていたとしよう
誰も僕に追いつけない、誰も僕に勝てない
正真正銘、最強の力を

そんな力を持ったとして、果たして僕の日常に何の変化があるというのだろう

僕は欲が薄い
理由は特にない、昔からそうだった
毎日ご飯を食べて、温かい寝床で眠り、昼間は学校で勉強
成績もそこそこ、運動はまあまあ、人付き合いもそれなりに
何事もなく平穏に、僕の日常は進んでいる
別に何かほしいとか、ああしたいこうしたいとか、特に思わない
僕はきっと満たされている

たとえば僕が全知全能の力を持ったとして
世界は何一つ変わらないんだ

一つだけ変わるとすれば、そうだな
月曜日はお休みにしよう
[記事No.641226]Re:短編小説

白音
ID:[jmtxkgakm]
SH3E
投稿日時:10/14 13:27

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記事No.326462への返信


ねえ、知ってる?
あの噂

この学園の裏手にある、旧校舎には、夜な夜な奇妙な奴等が集まってくるという。
デマにきまっている、最初からそう思っていた。
しかし、不思議な出来事に目敏い、幼なじみの好奇心をそそるには充分な噂だったらしく、渋りながら一緒に旧校舎へ行った事があるが、奇妙な奴等なんて現れなかった。

ーそれから一ヶ月後ー


「お願いがあるの」
「何だよ、急に呼び出して」
「一緒に来て欲しい場所があるの」
「おい、まさか、きてほしい場所って」
「そう、例の」
「パスする」
「そういわずに、ほらほら、行くわよ」


うまく逃げられたと背をむけて溜息を着いていたのもつかの間、いつの間にか目の前には、はしゃぎながら旧校舎の入口に向かう幼なじみと、それを迎えるように旧校舎がそびえたっていた。


「ほら、早く、遅い」
「今、いくよ」


落ちかけの眼鏡をかけ直し、嬉しそうに微笑む幼なじみに、奇妙な奴等の事をどのように説明したらいいかと思いながら、歩きだしたのだった。


実はーー


end
[記事No.641218]Re:短編小説

烏輪滝彦
 zTyHF5uc
ID:[NegroCruzRX]
PC
投稿日時:10/14 09:59

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記事No.326462への返信

季節は夏、雲ひとつ無い夜空の下に、たゆたう川には 歪んだ月光。

綺羅綺羅輝き流れ行く水面は、薄衣の襟を開けども、蒸し暑い夜風とは無縁と言わんばかりに冷たい瞬きを魅せてくれる。

私は書棚から書簡を取り出す。古くから紡がれ語られゆく詩を読むために。

衣擦れの床は少しも音を吸わず、木質を私の裸足に伝える。そろそろ建て直しが必要だろうか。鶯が鳴くような軋みが耳につく。

一冊の書簡を取りだしまた、几まで歩む。家人はまだ寝ていないだろうが、申し訳ない気持ちになりながら窓際まで几を寄せ、書簡を紐解く。一陣の風を頬に感じ、ふと、窓を見る。

蛍が飛び交うこの頃には、白日の元に晒される 百日紅も影を落として風に揺れる。

吹き抜けの窓から訪れる夜月と蛍の灯火に、私は書簡を広げ、流暢に認められた書に感嘆しながら、詩を読む事に没頭する。

蝉が鳴き止み、暑さもはたとやむ、このひとときが私の至福の時なのだ。








短文小説練習板の文章を長くしてみました。あまり変わってませんね…。長くもなりませんでした(泣)

場所を提供していただき、ありがとうございました。
[記事No.640653]Re:短編小説


ID:[ayu1126]
PC
投稿日時:09/28 11:26

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記事No.326462への返信


両腕をとられ、足を引きずるようにして歩く
向かうのは、処刑台までの道
部下を裏切り、上官を欺き、滅却すべき敵を逃がそうとした自分を、許すものなど居はしない
それが、どんなに愛しい子であっても
どんなに自分が愛した存在でも

囚われた可哀想なあの子は、また体を無粋な刃物で暴かれるのだろうか
戦争のための道具として、望みのしない施術を受けるのだろうか
無力な自分には、どうすることもできない
所詮人間なんて小さな存在だ
あの子を守るために国と戦うなんて、一人では到底無理だったのだ

涙も涸れ果て、表情すら作れない
あの子との約束を守れなかった自分に、歯痒さを覚える
守ると、約束したのに

所定の場所に膝をつき、はるか後方で元同僚が銃を構える音を聴く
多分、苦々しい顔をしているんだろう
意地の悪い上官の命で、士官生時代からの友の頭を撃ち抜くのだ
嫌な役回りをさせてしまった

自嘲気味に笑い、謝罪の言葉を小さく呟く
そして、感謝の言葉も
誰だかわからない処刑人に殺されるよりは、信頼足り得る親友の手にかかる方がいい
本人には申し訳ないが

思い残すことは、愛しいあの子のことだけだ
どうすることもできないが、せめて、あの子が少しでも幸せに生きられるように
そう願って、目を閉じる

引き金に、指が、









「一緒に逃げよう」







真っ白な羽が舞った
親友の手の中の銃が、純白の砂となって崩れ落ちる
柔らかい羽毛に包まれ、眩しさに目を細める
つよいかぜを感じた

はるか眼下にあわてふためく人影と、呆けたようにこちらを見ている親友がいた
純白の翼を広げた愛しいあの子は、キュゥ、と高い声で鳴く
その広い背に体を預け、青い空と白銀の雲海を、網膜に焼き付けた



「逃げよう、誰もいないところへ」



愛しいあの子の背にのって
どこまでも、空を



----------------
本館サイトの創作
ラストはこんな逃避行にしたい
[記事No.639553]Re:短編小説

かいり
ID:[0110egg]
N04B
投稿日時:09/08 15:49

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記事No.326462への返信

あんなに煩かったセミの声をも、段々懐かしくなる頃。
珍しくその日は空が抜けたように青かった。

「ベス、今日は暑いね。」―――チリン
しまい忘れた風鈴が涼しげになった。
もう返事をする事のない愛犬は、お気に入りのクッションでいつも通り昼寝をしている様だった。
あまりにも、いつも通りで。
縁側で足を桶の中の水に浸しながら加奈は話しかけた。
「お姉ちゃんねー、今日特別にベスを海に連れていってやろうと思ってたんだ。」

いつもなら、尻尾振ってくれるのに。
「あれ、返事がないぞ?」
お散歩行こうよって駈けて来るのに。
「行ってあげないよ‥‥。」
もう、
「ベス雨降ってきたよ。」
カラリと晴れた空はそんな嘘を涼しい顔をして眺めた。
加奈を悩ませる昨夜からの雨が今日もまた頬を濡らした。

――――――――――――
メッさ短いのと比喩が多いのは見逃して下さい(゚д゚;)
[記事No.639508]Re:短編小説

湊都
ID:[37102525]
002P
投稿日時:09/08 12:11

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記事No.326462への返信

「誕生日、おめでとう」

俺は目の前の二つのグラスに飲み物を注ぐ。

「『クリスマスイブが誕生日なんて嫌だ』って、いつも言ってたよな」

俺は小さな箱を、向かいの彼女に渡す。もうひとつ同じ箱を取り出し、開く。

小さなペアリングを。

「ほら、俺とお揃い!」

リングをはめて、俺は彼女に向けて笑う。写真の中で、優しく微笑む彼女に。

「初めてのクリスマスイブ、一緒に過ごせなかったな。楽しみにしてたのに」

12月24日。彼女の誕生日。

彼女が世界から消えた日。

誕生日にその命を落とした俺の彼女。

「誕生日おめでとう、朝菜。大好きだよ」


俺の心をあげるから、君にもう一度会いたい。
[記事No.638925]Re:短編小説

紅蓮
ID:[ouja0925]
PC
投稿日時:08/31 15:30

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記事No.326462への返信
「・・・寒いね。」
「ね、ほんっとうに寒いわ。」
「そうかい?僕には丁度良いんだけれど。」

そう、僕には丁度良い。
普通なら『寒い』と感じるのが、当たり前なのに。
仲間たちのように感じるハズなのに。

「お前は寒くないのか?」
「うん、だって________」


だって僕、氷の精霊なんだよ?


そういうと白髪の彼は、いつも決まって寂しそうな顔をするんだ。

「あはは、そうだったね。」
茶髪の彼は言う。
「忘れてたわ。どう見ても人間にしか見えないから。」
赤茶髪の彼女は言う。
「まぁ、精霊なら寒くはないな。」
帽子を被った彼は言う。
そして、
「・・・そうだな。そういやお前って精霊だったな。」
少し寂しそうな、白髪の彼が言う。


ごめんね、ホントは皆と同じ感覚が持ちたいんだ。
皆と同じ気持ちを共有したいんだ。

でも、それは、僕が精霊である以上、どうにもできない。
だから、そんな寂しそうな顔しないでよ。



『氷山にやって来ました。奴を倒すために』

(なのに、何でそんな顔するんだい?)
(今は奴のことを考えないといけないだろう)
[記事No.638630]Re:短編小説

癒里
ID:[notlook4279]
SH3F
投稿日時:08/29 00:28

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記事No.326462への返信






八月末日を直前にして。

私はとんでもないことに気付いてしまった。

「私、まだスイカ割りしてないや」

更に言うなら花火もしてないし、セミ狩りもしてない。

「セミはやめてやれよ永瀬。あいつらもう追い込み入ってんだから、そっとしといてやれって」
「追い込み入ってるのは私もですよ」
「そう、その自覚を持ってくれ。お前のせいで俺はこのクソ暑い中、お前に補習するために出勤してんのよ?」
「ぁ、プールも行ってないや」
「聞けや」

そう言って私を小突くのは、私の担任であり何故か恋人である藤堂先生。

私は、夏休みの宿題を見てもらうために八月中頃から学校へと赴く生活を続けていた。

「宿題のためとは言え、悲しすぎる生活ですよね」
「俺に会えて嬉しかろう」
「かろ、けれ、コロ」
「今イヌ混ざってたぞ、イヌ」
「先生、スイカ買いに行こう、スイカ」
「聞けや」

そう言いながらも、この補習生活に飽き始めていたのは私だけではなかったようで。
先生は、夏の間に伸びた髪をがしがしと掻きながら、私を見下ろす。

「スイカ買ってどうすんの」
「割ります」
「どこで」
「先生ん家」
「やだよベタベタになんじゃん」
「じゃあ下の駐車場でも良いですよ」
「何で割るの」
「野球部のバットを拝借して帰りましょう。あの子にとってのこの夏が、球に当たることなく終わっては可哀相です」
「お前それ山口先生にはゼッテー言うなよ?」

山口先生は我が校の野球部顧問で、この夏一番泣いたであろう先生である。

「見事なクソ試合でしたものね」
「お前たまにエグいこと言うよね」
「だから付き合ってるんでしょう?」
「学校ではそのこと言わないのー」

だったら早く私をスーパーに連れて行きなさい。

「そしてスイカを買い与えるのです!」
「はいはい。あとは?」
「花火!」
「安上がりなお嬢さんだこと」

助かるわあ、なんて言って笑っている先生をよそに、私はさっさと帰る準備を整える。

「先生も早く、準備して」
「そんな急がなくたって良いでしょ」
「ダメですよ」

そんなのんびりしてたら、夏休みが終わっちゃう。

「まだまだ夏はこれからなんですからね」

楽しむには、少しスタートが遅すぎました。

だから。

「早く行きましょう!」

最後の夏を、楽しむために。











『スロースターター』
[記事No.638538]Re:短編小説

お茶
ID:[mysoul46]
N03A
投稿日時:08/28 03:45

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記事No.326462への返信

寝付けないので投下します。



夏の夜は寝苦しい。
理由は人それぞれ。蒸し暑いから、蚊の羽音が喧しいから……沢山あるけど、それは命が宿っているからだと思う。

「羨ましいな」

人にとって“苦しい”事を羨んだ彼の体は、冷たい機械で出来ている。

「どうして?」

「だって、僕はそう感じる事が出来ないんだ」

「……そういうの無い物ねだりっていうのよ?」

「君は羨ましいと感じないのかい?」

「苦しい事は嫌だもの」

「聞き方が悪かったね。じゃあ“苦しい”を知らない僕のこと、羨ましいと思うかい?」

「…………思わないわ」

「どうして?」

ビー玉みたいに、と言うよりも人の眼球そっくりに着色されたガラス玉をしっかりと見ながらわたしは口を開いた。

「だって、もしも“苦しい”を知らなかったら、苦しいってどんな事なのか知りたいって願うと思うから」

「人間は貴方たちと違って欲張りなのよ」と笑えば彼は「ホントだね」と言って、わたしの額の上に濡れたおしぼりをのせた。




お世話ロボットと夏風邪を引いた女の子の話。
[記事No.628996]Re:短編小説

東永尋
 NLON44yM
ID:[kuronabe]
PC
投稿日時:05/14 16:23

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記事No.326462への返信

コッソリと参加させていただきます。




<風鈴草>


「・・・・・・何だ、ソレ」
 紫煙を立ち上らせた上村(うえむら)は、何故か居座っている己の受け持ちクラスでも、教科の担当クラスでもない男子生徒が美味そうに飲む物体を胡乱気に示した。
「カキ氷ティー」
「茶にする意味はあるのか?」
 キョトンとして手の内にある紙パックを掲げる浅岡(あさおか)に尋ねつつ、そういえばいつぞやも同じ質問をした気がすると青々と茂った桜並木を横目遣う。あの時はまがい物しか知らぬとのたまった、憐れな生徒に作ってやったサクラモチ片手に花見と洒落込んだ。
「ゼンザイモチティーもあるよ。上村も飲む?」
「いらねぇ」
 一体どこでその様な不可解な茶を見つけてくるのだろうか。
 味を想像して、だがしかし己の範疇を超えている物に断念し、溜め息をつく。
「ね、上村。オレのは?」
「ぁあ?」
 嬉々とした声音に思考を戻される。とても教師とは思えない柄の悪さで、窓の桟に身体を預けフィルターを銜えたまま目を眇める。
「今日、調理実習でスイートポテト作ったでしょ?」
「ソレがどうした」
 芋を柔らかくして調味料を混ぜ適度に水分を飛ばす菓子の製作に、どうしたらあれほど悲鳴が上がるのか。首を傾げつつ女生徒を指導した覚えがある。
「オレのは?」
 再び言いつつ手を差し出し、先ほどよりも焦れた様な声音に聞こえるのは気のせいか。
「ワイシャツの袖たくし上げて、ネクタイ外して鎖骨が見えて、上村が作ってる時すごく格好良かったって!」
 そうか。見本を示してやったが、手元は見ていなかったということか。
「・・・・・・菓子作っただけだ」
 授業だ。第一、現在も授業中であるはずの時間に、生徒である浅岡が家庭科準備室に居座っていること自体がおかしい。
「腹減ってるなら、購買行って何か買って来い」
 あそこならば、味見程度の菓子よりは腹に溜まる食い物が多い。
 素っ気無く言い放った上村に、そうじゃないのに!と声が上がる。
「上村が作ったのを食べたい!」
「別に誰が作っても同じだろ。お前の事だ、他のヤツラにもらえるだろ」
 この見目だ。女生徒にモテているらしい事は教師である自分の耳にも届いている。
 それに。
「俺が作った分は山下先生にやっちまった」
「山下って、山っち?生徒指導の!?」
「あぁ。日頃の感謝を込めてな」
 あとは、己の素行の悪さに若干目を瞑っていただいているワイロとして。
「ひっでー!!」
「ひどいのは、授業をサボってるお前だろ、浅岡!!」
「・・・・・・あーあ。お疲れさまです、山下先生」
 大声を出してしまった為、居場所が知れてしまった。せっかく、厚意で身柄を差し出すような真似はしなかったのに。
 コッソリとタバコを背後に隠しつつ、乱入してきた話題の同僚に軽く会釈する。
「美味かったぞ、上村の菓子」
「ちっくしょー!!」
「先生も煽らないでください」
 臍(ほぞ)をかんだ浅岡を、大人気なく嘲笑った生徒指導を嗜める。
「じゃあな。ほら、行くぞ」
 悔しそうに引き摺られていく学生服に憐れみを覚えながら、にぎやかに消えていった扉をしばらく眺めた。
 仕方ない。
「・・・・・・次の時のは取っておいてやるか」
 浅岡は失念しているらしいが、何も調理実習は今日だけではない。



薫風が細く紫煙を攫って行く中、たかが菓子一つで喚き散らす未だ子供の様な高校生を思い出し、目元を緩めた上村を浅岡は知らない。
[記事No.625726]Re:短編小説


ID:[ayu1126]
PC
投稿日時:04/15 21:19

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記事No.326462への返信
折れた両腕をぶら下げた彼女は、地面に這いつくばるようにして舌で筆を掬い、尖った犬歯でガリリと噛んだ
足で器用にチューブ絵の具のふたを開け、服の裾を汚しながらパレットに色をのせる
彼女は噛みしめた筆に絵の具を絡ませ、マーブル模様の確かな線を、目の前の白い壁に塗りたくった
自分が彼女を呼ぶ声は、既に彼女の耳には届いていない
批判も、揶揄も、憐れむ声も、自分の息遣いさえ、彼女の耳には入らない

腕くらいくれてやる

そう言って両の手を差し出した彼女を、周囲は憐れみ敬遠した
彼女の苦しみも、背負っているものも知らないくせに
彼女がどんな思いで両手を差し出したかなんて、知りもしないくせに
才能ゆえに、あの子はおかしいんだと
才能ゆえに、普通の子じゃないんだと
なにも知らないくせに

口元から唾液がこぼれ落ち、彼女の胸元を濡らす
噛みしめたさいに口内を傷付けたのか、赤混じりの唾液が白いシャツを汚した
それでも彼女は描くことを止めない
唾液を拭おうともしない
裾や足や顔が汚れても気にも留めない
彼女の目は、真っ白な空間だけを見ていた


「部長さん」


届かないと、わかっているけど、
それでも自分は



_______________

部長さんはわけあり
[記事No.622438]Re:短編小説

天p抜刀d竜
 gvMql5p6
ID:[gintama9524]
PC
投稿日時:03/17 00:29

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記事No.326462への返信
2人は歩く、手を繋いで、何処までも

「ゴールは何処だろうね?」

「さぁなー
寧ろスタートが何処だっけ?」

戻ってみようか
後ろを振り返り2人は歩いた
手を繋いだまま何処までも
後ろを数メートル歩くと、そこは道が途切れていた
いや、
世界そのものが途切れていた
まるで断崖絶壁
落ちたらきっと戻って来れない

「すげー」

「すごいねー」

それでも2人は恐れる事なく近付いた
結果的に想定内と言えばそうなのだが、2人は落ちた
正しく言うと、最初に彼女が落ちた
足を漫画のようにつるっと滑らせたのだ
そこで彼は彼女の握っていた手を離すまいと強く握ったのだが・・・握ったはいいが彼には生憎彼女を支えるような怪力は無く、というかちゃんと食ってるのかと言いたいくらい彼は軽かった
その結果彼女が落ち、それを強く引っ張った反動で彼は彼女の手や握ったまま宙をぐるうり、と縦に綺麗に回った
それはもう芸術に等しい

「どうする?」

「どーする?」

「どうしよう・・」

「とりあえず叫ぼうか」

「うん、せーっの」

「「ぎゃぁぁあああああああああ」」

なんとも落ち着いた会話であるが現状は今の通りである
落ち着いて叫ぶ2人は急降下
このままでは最終目的地である地面に叩きつけられるだろう
それはそれは、痛いだろう(痛いで済めばいいが

「これ!そっち持って!!」

「え?!」

「ファンタジックパラシュートやるから!!」

嫌ならアリス風浮遊やるけど、と彼が彼女のスカートを見ながら言うと、彼女はやらせてくださいとばかりに渡された大きな布の端を握った
因みにスカートの下も履いてます(二枚的な意味で
四つの端を持ってバッの離れると布がパラシュートになって風の抵抗を受け降下が緩む
と共に一直線に落ちていたのが斜めに降下する
思えば手を離したのはいつぶりか

「パラシュートは握ってるうちに入るんだな」

「そーだねー」

ある日、2人の前に魔女が現れた
魔女は2人に暇だからと呪いをかけた
2人はその時手を握っていた
だから、かかってしまった

手を離すとどちらか一方が死ぬ呪い

どちらなのかはわからない
だが例えわかっていたとしても、2人は呪いを解くまで互いの手を離す事は出来なかっただろう
その代わり、死ぬのが自分なら相手を危険にさらしてはなるまいと、さっさと手を離しただろう
だが相手がそうならば、その考えを見越して、紐でもテープでも接着剤でも、なんでも使って一生離れないようにするだろう
けしかけられたゲーム(呪い)、この造られた世界から魔女を探し出すというRPGを探せばありそうなシナリオ
しかし実際やってみるとこれが結構難しい
地形が変わるわ変な生物は出てくるわ、挙句の果てにはこのザマだ
風に運ばれた2人は海の砂のような場所に落ちた
その落ちた場所
すん、の嗅いだ事のある匂いに後ろを振り返ると

「「おー…」」

上からの光でキラキラと反射する海があった
地下に海というのもおかしいが
波をたてている、潮風もある、何より砂浜のそれは貝やサンゴが砕けたものだった
見た事もない小さな生物が砂から何かを拾ってもしゃもしゃと食べている
揶揄するならカニだろう

「・・・行こっか」

「そーだな」

新たな正解の道を探し当てた2人は歩き続ける


『リア充を撲滅させようとしたら裏目に出た魔女』
[記事No.622436]Re:短編小説

天p抜刀d竜
 gvMql5p6
ID:[gintama9524]
PC
投稿日時:03/16 23:53

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記事No.326462への返信
とても悲しい夢を見た。
起きて、外を歩いた。

静かな闇は彼女を包み、そのまま引き摺り込むでもなく春風で優しく肌を撫でる。この時期は正直あまり外に出ないほうが身のためなのだが、夜は何故かそれらの天敵が牙を向いて来ないと感じた。実に自己中心的な考え方である。
病は気からとも言うが、外出してからくしゃみは一度も出てはいない。
桜の季節にはまだ遠く、寒くはないが暖かさがまだ足りない。梅の花がその白さを黒とも、灰とも言い難い空間で輝かせている。

"これが夢ならまだいいのに"

おぼろ月をまるで小説の主人公のように見上げる。切なげに。背に羽があれば何処かへ飛んでいけたかもしれない。
そう、飛んで行きたかった。ここではない、いや寧ろこの"世界"ではない何処かへ。
ならば何処へ行きたいのかと問われれば、ここ意外としか言いようがない。特定の場所は然もありなん。だが一つに絞ることなど出来はしない。だから、ここではない何処か。
道路を救急車が通り過ぎる。音を鳴らさず静かに走るそれは何処へ向かうのだろう?
歩道を歩いていると何回か人とすれ違った。
一人は未成年とおぼしき若い青年。手にはコンビニの袋。道路側に持っているそれを振り回し、上機嫌に過ぎ去った。
次に疲れた顔をした40代前半っぽい社会人。残業か、時計を気にして足を早める。カバンにキーホルダーが光っていて、それがプリクラをいれるタイプの物だと気付いた。すれ違う時に中身見ると、男女の間に小さな子供が写っていた。
ボーッと歩いていると道路の脇を自転車が物凄い速さで駆け抜けた。本当に物凄い速さなのだ。多分、人の出せる最速かもしれない。だが急いでるわけでもないようだ。その人は後ろと前を確認すると大きな道路の真ん中まで移動して旋回した。その顔は笑っていた。とても幸せそうに。
ふと、前を見ると80を過ぎているであろうお婆さんが、旋回自転車を避難する目で見ていた。心配からか、常識的に見てか。
時間を見ると、運悪く目を覚ました子供は親の布団に潜り込む丑三つ時。そろそろ帰った方がいいだろう。明日は7時には起きなければならない。
布団に入って眠れば、またあの夢を見るのだろう。
きっと苦しませたいわけじゃない。泣かせたいわけじゃない。けど、あまりに悲しい夢だった。
夢にまでみた夢だった。



夢を見た
大好きな人たちに囲まれる夢
触れることすら叶わなかった人たちに触れ
語りかけることすら叶わない人たちと笑い合う
楽しくて、切ない夢

『深夜帯散歩』

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